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あばれものの誕生
2017年4月1日

ブラックホールは破壊的(はかいてき)なふるまいで知られています。たとえば恒星や惑星をバラバラにこわして、すっかりのみこんでしまうようなことをします。でも実はブラックホールは宇宙の中の大切なメンバーです。というのも、ブラックホールはたくさんのエネルギーを宇宙にかえしてくれるからなんです。

とてつもなく重いブラックホールは、ほとんどの銀河のまん中あたりにかくれて、まわりのガスやちりをがぶがぶ飲みこんでいます。そうして飲みこんでいる時にエネルギーを出してまわりの物質を高温にし、銀河の両側にふきとばします。その噴射(ふんしゃ)のはげしいようすをみごとにあらわしているのがこのイラストです。

大きな銀河のほとんどは、中心にブラックホールをかくしているとかんがえられています。なのでこのような噴射はよくあることなのですが、このイラストには、さいきん発見されたばかりの新しいことがえがかれています。巨大なブラックホールからはげしくふきだしている物質のなかで、新しい恒星が生まれています。どれだかわかりますか?

これらのおさない恒星は、自分たちのふるさとである荒々しい環境(かんきょう)の中で、いきおいよく成長していきます。そして銀河の他の場所で生まれた恒星とくらべて、より熱く明るく輝いています。運動もよりはげしく、たいていは銀河の中心からものすごいスピードで遠ざかっています。

銀河から一番遠くはなれたところで生まれた恒星は、そのまま銀河からとびだしてしまい、暗くて広い宇宙の中をさまよいながら一生をおえる危険もあります。それもひとりぼっちで!でも反対に銀河の中心近くで生まれた恒星には別の危険がまちかまえています。銀河の重力のせいで運動のスピードがだんだん遅くなり、ついには止まってしまって銀河の中心にむかってひきよせられて落ちていきます。そこにはあのブラックホールが口をあけてまっています。

もしかするとこれが、天文学者たちを何世紀ものあいだなやませてきた謎(なぞ)への答えかもしれません。つまり、渦巻(うずまき)銀河の中心のあのふくらみ(バルジ)は、いったいどうやってできるのか?という謎です。

知っ得ダネ

この発見は、もう一つ別の謎への答えにもなるかもしれません。酸素(さんそ)などの化学物質(かがくぶっしつ)がどうやって銀河と銀河のあいだの空間にやってきたのか、という謎です。このように恒星が銀河の外にほうりだされてばくはつするとしたら、その内部にあった物質が宇宙空間にちらばっているのもうなずけますね。

 

この記事はESOからの報道発表によります。

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