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しぶとい恒星(こうせい)
2017年11月10日

いい物語というものはみんなそうですが、恒星の一生にも同じように始まりと、とちゅうと、終わりがあります。もっとも重い恒星の一生はもっとも劇的な結末をむかえます。大爆発(ばくはつ)を起こして宇宙を照らすのですが、その光はひとつの銀河全体の明るさよりも明るく、爆発のあまりの激しさに、恒星の中身は周りに吹き飛ばされてしまします。ようやく吹き飛ばしたチリがおさまったころ、残っているのは」はかつての巨大な天体のこわれた中心部分です。

これらの爆発は超新星(ちょうしんせい)爆発と呼ばれています。ここ数年間にわたって何千もの超新星爆発が天文学者たちによって、観測され研究されています。なのでその一人、ヤイア・アーカヴィさんが2014年に新しい超新星爆発を見つけた時も、特に気にとめませんでした。ほかの超新星爆発と変わったところはなく、同じようにしばらく輝いたあとしだいに消えはじめました。そのまま終わっていくようだったので、ヤイアさんは別の研究に取りかかりました。

2、3週間かたってもう一度この消えていく恒星を確認した時、ヤイアさんはびっくりぎょうてんしました。それは前よりも明るくかがやいていたんです。信じられないことですが、まるで2度目の爆発をしたように見えました。 その後2年間ヤイアさんのチームは、この恒星がこれまでのすべての記録を更新(こうしん)するのをおどろきをもって見守りました。600日のあいだに5回、明るくなったり暗くなったりをくりかえしました。何度も何度も爆発するのです。さらにおどろくことには、この恒星の過去を調べてみると、60年以上前に一度爆発を起こしていることが分かりました。

ではいったい何が起こっているのでしょうか。本当のことはだれにもわかりませんが、一番当たっていそうな推測(すいそく)は、この恒星の爆発は他の超新星爆発とはちがって、恒星そのものがこわれておこっているのではなく、「反物質(はんぶっしつ)」というきみょうな物質が恒星で作られているせいではないかというものです。反物質とふつうの物質が恒星の内部でふれあうと、強力な爆発を起こします。くり返し爆発が起こるのはそのせいなのです。

だけどいい物語はみんなそうであるように、この恒星の物語も終わりをむかえます。600日後、かわいそうに疲れ切ったこの恒星は、もうこれ以上打ち上げ花火を続けることはできなくなりました。最後にもう一度大きく爆発した後に、今度こそ消えていったのです。

知っ得ダネ

この恒星は太陽の50倍か、おそらくそれ以上の質量がありました。観測史上もっとも大きな超新星爆発だったかもしれません。

 

この記事は LCOGTからの報道発表によります。

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