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ブラックホールは、宇宙全体にさざ波をたてます
2016年2月15日, Osaka

このたび、科学者チームは世界で初めて重力波を見つけました。

重力波というのは、宇宙の構造の「さざ波」みたいなものです。(これについてくわしくは、『わたしたちの宇宙のゆがんだかたち』を読んでください。)これらのさざ波は、ブラックホールがぶつかったり、星が爆発したり、宇宙が誕生したときなどに、とてつもなく激しいできごとがおきた時に生じたのです。

1916年にさかのぼって、アルバート・アインシュタインという科学者が、重力波が存在すると予測しました。しかし、その存在をじっさいに証明することは、100年後までできませんでした。

2015年9月14日、重力波はまさしく世界ではじめて検出されました。遠い宇宙において、2つの巨大なブラックホールがぶつかったときにできた重力波は、10億年以上前に発生したものです。この衝突(しょうとつ)がまわりをたいへんゆらしたので、重力波が外へ向かってあらゆる方向に伝わっていきました。まるで石を池に投げ入れてつくられるさざ波や、ピンと張った布の上で重い球をグルグル回しているようすに似ています。

重力波の誕生はとても激しかったのですが、それが地球にとどく頃には、非常に小さくなりました。どれくらい小さいかというと、人間の髪の毛の幅の1兆分の1より小さいのです。それらを見つけるため、わずかな望みをかけて、銀河系で最も性能の良い装置がつくられました。それがアメリカの重力波望遠鏡LIGO(ライゴ:LIGOとは「Laser Interferometer Gravitational-Wave Observatory(レーザー干渉型重力波天文台)」の略)という観測装置です。

LIGOは2つの装置でできています。それぞれが、長さ4キロメートルのL字状のトンネルからできています。レーザー光線が発射され、トンネルの中を往復します。これらの光線を使って、たいへん正確にトンネルの長さを計ることができます。

重力波が地球を通りぬけるとき、ごくわずかに地球を伸ばしたり、押しつぶしたりします。このことは、LIGO装置のトンネルの長さに小さい変化をおこします。この変化を測定することで、ついに重力波があることが証明され、そして、疑う余地もなく、アインシュタインがたいへんかしこい人であったということが証明されたことにもなりました。

 

知っ得ダネ

これらの2つのブラックホールがぶつかったとき、宇宙全体のすべての星や銀河からでた光より10倍くらい多くの力がありました。でも、それはほんのわずかな瞬間でした。

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