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A programme by
衛星(えいせい)の守り人クラスプ
2017年6月4日

宇宙で科学の研究をすすめるのは、決して簡単なことではありません。太陽の特定の場所を、1億5000万キロメートルはなれた地球の上空から、ものすごく精密に調べる、しかも、5分以下という短時間で終わらせる、という状きょうを想像してみて下さい。

それが、クラスプ(CLASP)計画に課せられた仕事です。クラスプとは、2015年に打ち上げられたロケットに積みこまれた、先たん技術の望遠鏡です。今週、科学者たちはついに、クラスプがとった写真の解せきを終わらせました。

ロケットが宇宙に届くと、クラスプはロケットの外に出て、地球の上空150キロメートルのところからたった5分間だけ、だれもまねできないような太陽の観測をしたのです。それからパラシュートを使って無事に地球に着陸しました。

クラスプのおかげで、科学者たちは初めて、太陽上空の磁場(じば)をくわしく観測することに成功しました!

クラスプは、太陽の上空から出ている、磁場と深い関わりのある「ちょっと変わった光」を観測しました。どのように光が「変わったか」を調べることで、磁場の強さや方向がわかるのです。(このような光のことを「偏光(へんこう)」といいます。)

しかし、なぜわざわざ磁場を調べるのでしょうか。それは、太陽の表面にあるいくつかの層を形作るのに、磁場がきわめて重要な役割をはたしているだけでなく、太陽から放出される物質やエネルギーの流れを決めているからです。その流れが地球の方向に向いていて、そこで強い太陽フレアが起きると、衛星や国際宇宙ステーションにいる宇宙飛行士に悪いえいきょうをおよぼします。

太陽の磁場を調べ、太陽表面で起こるばく発的なエネルギーはどのように太陽から放出されるのか、それがもっと良くわかると、その悪いえいきょうをふせぐことに役立ちます。

国立天文台による日本語サイトあり

知っ得ダネ

クラスプのようなそうちのことを、「観測ロケット」といいます。地球から50〜1500キロメートル上空に装置を打ち上げるのです。低いところは気象観測用の気球、高いところは衛星が回っているあたりの高度です。気球は最大40キロメートルくらい上がり、一番低い衛星の高度は120キロメートルくらいです。

この記事は、日本の国立天文台からの報道発表によっています。

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