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力がときはなされている
2020年4月9日

  最近ずっと天文学者たちは、非常に強力で明るい天体を、これまでになくとてもくわしく観測してきました。

 

  1年前、ブラックホールが科学史上初めて写真にとられ、それを見た世界中の人たちは、おどろき、喜んだのでした。

  その写真をとるために、世界のあちこちからたくさんの電波望遠鏡が協力し、目的のブラックホールを観察しました。そのため、天文学者はたくさんの目でブラックホールをしっかりと観察することができたのです。この、たくさんの望遠鏡が協力して天体を見る仕組みを、イベントホライズン望遠鏡といいます。ブラックホールのへりのことを事象の地平面といいますが、その事象(イベント)の地平面(ホライズン)を写真にとることが目的だったので、イベントホライズン望遠鏡(事象の地平面望遠鏡)というのです。ブラックホールの事象の地平面とは、ここをこえるとその向こうにあるものは何一つ見えないという境のことです。超巨大(ちょうきょだい)ブラックホールの巨大なイベントホライズンを観測するためには、たくさんの望遠鏡が必要だったのです。

  このイベントホライズン望遠鏡は、今や別の新しい成果をあげています。

  天文学者たちはイベントホライズン望遠鏡で、50億光年はなれた場所にあるクエーサー3C79をねらっています。クエーサーとは、遠方の銀河中心にある非常に明るい天体です。ガスに囲まれた超大質量ブラックホールでできていて、ブラックホールに落ちこむガスが原因となり、とっても強力なエネルギーを発しています。

  最近、研究チームは、この強力なエネルギーの画像を、これまで記録された中では最もくわしく、きめ細かく、とらえています。このクエーサーの画像をリンク先で見ることができます。

  ブラックホールからふき出ている2つのエネルギーの流れ(フレアとかジェットと言われる)は、光速に近い速度で動いています。この速度は、ガスなどの物質がブラックホールの非常に強い重力に引かれて落ちていくときに、巨大な力が放たれるからおきています。このクエーサーのブラックホールの重さは、太陽のなんとおよそ10億倍もあるのです!

  今回の新しい写真が今までになくシャープなので、天文学者たちはこのジェットの形と性質を今まで以上にくわしく研究することができます。

  天文学の世界では、イベントホライズン望遠鏡で今後もどんな観測ができるのか、とっても期待して、楽しみに待ち望んでいます!

 

写真提供:ESO/M. Kornmesser

知っ得ダネ

  クエーサーは、宇宙にある他のどんな天体よりも明るいです! その明るさは、いくつもの銀河のすべての星々が発する光を集めたとしても、それより、もっと明るいのです。それでもクエーサーは私たちから遠くはなれているので、見ようと思ったら望遠鏡が必要です!

 

国立天文台アルマ望遠鏡による日本語サイトあり
https://alma-telescope.jp/news/3c279-202004

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