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花火のモザイク
2020年7月2日

ジグソーパズルって、完成するまでは絵の全体を見ることはできませんよね。天文学でも同じようなことがよくあります。それは1つの天体の全体像を見るために、いろんな種類の光をいろんな種類の装置を使って観測するからです。

天文学者たちは750以上の観測データをモザイクのように組み合わせて、G286.21+0.17という名前で知られる星団のパズルを作り上げました。できあがったのはごらんの通り、むらさき色の宇宙の花火のような美しい画像です。

美しさの後ろにかくされた科学

星団とは、重力によってまとまった恒星(こうせい)の巨大な集まりです。恒星の数は数百個から数百万個のものまであります。私たちの太陽もそうですが、宇宙にある恒星のほとんどは、星団の中で生まれました。これらの星団は銀河の中にある保育園みたいなものです。

チームワークの力

どのようにしてこの星団がガスとチリの大きな雲から生まれるのかは、まだ研究のさいちゅうです。花火のモザイクのようなこの画像は、星団が今まさに生まれようとしているところをとらえたものなんです!

この画像はアルマ望遠鏡でさつえいされた何百もの写真を組み合わせたものです。アルマ望遠鏡は普通の望遠鏡とちがって特別な望遠鏡です。アンテナを使ってものすごく弱い電波、つまり目に見えない特殊(とくしゅ)な光線をつかまえることができます。この電波は無線放送で使われる電波とはまた別の電波で、目には見えませんからここではむらさき色としてあらわしています。

じつはこの美しい花火のモザイクは、二つの望遠鏡のチームワークによって完成しました。アルマ望遠鏡がむらさき色の花火の部分をさつえいし、NASA/ESAのハッブル宇宙望遠鏡が恒星の部分をとらえました。ハッブル宇宙望遠鏡は赤外線を使って恒星を観測します。赤外線なら宇宙のチリのような物質を通りぬけて、その向こうにかくれているものを見せてくれます。

この画像では、星団の中で最も大きな恒星から強い風がふいてまわりのガスとチリを吹き飛ばしているのがわかります。 これらのたくさんの画像が一つになって、星団が生まれる時のようすを完成したパズルのように見せてくれるのです。

写真提供:アルマ望遠鏡、NRAO/AUI/NSFのY. Cheng氏 他, NASA/ESA Hubble のS. Dagnello氏

知っ得ダネ

この星団は天の川銀河の中のりゅうこつ座にあって、地球からは8千光年もはなれています。

 

この記事はアメリカ国立電波天文台の報道発表によります。

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